こんにちは、建築士ラボです。今回はアウトドアや子供の習い事・テニスクラブの試合観戦、ちょっとした作業に大活躍する「ハンティングチェア(三本脚スツール)」の本格的なDIY方法を解説します。
市販品も多く存在するハンティングチェアですが、自分で素材を選び、緻密に組み上げた一脚には格別の愛着が湧くものです。本プロジェクトでは、建築士の視点から「タフな使用に耐える構造強度」と「経年変化を楽しめる上質なデザイン」を追求しました。前編となる今回は、材料の選定から正確な木部加工までの工程をステップバイステップで詳しくご紹介します。
設計へのこだわりと使用材料・金具の選定
椅子の脚部には、野球のバットや高級家具にも使われる「ホワイトアッシュ」の無垢丸棒を採用しました。非常に硬質で粘りがあり、荷重による曲げや衝撃に対して圧倒的な強度を誇ります。今回は扱いやすく十分な強度を確保できる太さ28mm(28Φ)、長さ1820mmの規格材から切り出して使用します。美しい力強い木目も魅力です。


写真撮影時に2セット作りましたので、材料は2セット分写っています!
座面はハンティングチェアの座り心地と耐久性を左右する最重要パーツ。今回はレザークラフトの聖地でもあるアークオアシス(ARC OASIS)で購入した、厚み2.0mmのオリジナルヌメ革(ナチュラル)を使用します(10ds&11dsの計2枚)。使い込むほどに日光や体温で深い飴色へとエイジングし、お尻の形に馴染んでいく「一生モノ」の風格を楽しめます。

3本の脚を中央で強固に連結し、スムーズな開閉を実現するため、ステンレス製の強靭なボルト類を厳選しました。
- ユニクロ マルカンボルト(M6×50mm・全長約70mm): 1本(脚の回転軸の要)
- ステンレス 六角ボルト(M6×70mm): 1本
- ステンレス バネ座金(6mm): 3枚(ボルトの緩み止め)
- ステンレス 丸座金(ワッシャー 4×20mm / 厚み1.0mm): 3枚(革の固定用)
- ステンレス蝶ナット(6mm):1個
- ステンレスナット(6mm):1個
💡 建築士ラボのワンポイント:蝶ナットから「緩み留めナット」へのステップアップ 当初は手で調整しやすい「蝶ナット」を想定していましたが、実際の使用シーンでの移動や繰り返しの開閉、荷重変化による緩みを考慮し、最終的には**「緩み留めナット(ナイロンナットなど)」**に変更して組み上げることにしました!これにより、実用時の安全性が劇的に向上し、ガシガシ使えるタフな仕上がりになります。


木部加工編:正確な切り出しと穴あけテクニック
材料が揃ったら、いよいよ加工に入ります。ここでの精度が、最終的な椅子の座り心地と折りたたんだ際の美しさを左右します。
1820mmのホワイトアッシュ丸棒から、正確に3本の脚を切り出します。
📏 ここで設計のポイント!【脚の長さについて】 今回は脚の長さを50cmでカットしました。ただ、3本の脚を交差させて展開し、実際に座面を取り付けて完成させてみると、椅子の高さ(座面高)は40cmくらいになります。
アウトドア用としてはこれでも十分使えますが、大人がゆったり座ったり、立ち座りの楽さを重視したりするなら、脚の長さは60cmくらいあっても良かったなと感じています。これから作られる方は、お好みの高さに合わせて「50cm〜60cm」の間で調整してみてください!


カット後は、自作のウマ(V溝付きの作業台)やクランプを駆使して丸棒が動かないよう完全に固定し、次の穴あけ工程に備えます。
丸棒への穴あけで最も難しいのが「円柱の中心(直径線上)を真っ直ぐ貫通させること」です。これがズレるとボルトが通らなかったり、脚をたたんだ時に綺麗に収まらなくなります。
丸棒の木口(断面)に十字のセンターラインを引き、そこから側面に通る垂直線を正確に墨付けします。3本の脚全てで穴の位置(端からの距離)が寸分違わず一致するよう、慎重に計測してドリルを当てるポイントを決めます。

墨付けした位置にセンターポンチでガイドの窪みをつけた後、電動ドライバーに木工用ドリルビットを装着して穴をあけます。今回はM6のボルトを使用するため、ジャストサイズでガタつきの出ないΦ6mmの穴を正確にあけていきます。 アッシュ材は非常に硬いため、ドリルを作業面に対して完全に垂直に保ち、表からと裏からと、数回に分けて切り粉を抜きながら優しく掘り進めましょう。



切り出した状態の丸棒の端部はエッジが立っており、そのままでは座面の革を傷つけたり、地面に突いた際にささくれの原因になります。ここで据え置き型にしたベルトサンダーが大活躍します。 サンダーの高速回転する面に丸棒の端部を斜めに当て、丸棒自体をくるくると手元で均等に回転させながら削っていきます。角を落として綺麗なドーム状(R形状)に整えることで、高級感のある「面取り」が完成します。
さらに、ここで建築士ならではのもうひと工夫。 脚の先端を丸く加工した後、地面に刺さる(接地する)部分には、あらかじめ木工用ボルト(または接着剤)を薄く塗ってコーティングしておきます。こうすることで、キャンプ場などの湿った地面で使用した際にも木口から水が染み込むのを防ぎ、木材の腐食や傷みを劇的に抑えることができます。長く愛用するための隠れた重要ポイントです!




前編のまとめ
ホワイトアッシュの力強い木目と、美しいR加工が施された3本の脚部。センターに一発できれいに通った6mmの貫通穴と、足元の耐水処理まで施し、椅子としての「骨組み」の準備は半分完了(材料準備・木部加工まで)です!出来栄えは非常に満足のいくものになっています。
次回の【後編】では、いよいよこのパーツたちをボルトで結合し、ヌメ革をハンティングチェア特有の形にカット・金具留めして完成させる『組み立て&レザークラフト編』をお届けします。どうぞお楽しみに!




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